会社員が副業を始めるときの選び方・始め方・続け方を、手順に沿ってまとめています。

Tax Basics

確定申告の基本

副業で経費にできるものの考え方

目次
  1. 経費の基本的な考え方
  2. 経費にしやすいもの
  3. 按分が必要なもの
  4. 経費にできない、または注意が必要なもの
  5. 記録の残し方
  6. 副業専用の口座とカードが役立つ
  7. 次にやること

副業の経費にできるのは、その収入を得るために必要だった支出で、仕事との関係を説明できるものです。生活費と混ざった支出や、趣味と区別がつかない支出は、認められにくくなります。経費にしやすいもの、注意が必要なもの、記録の残し方を一般論として整理します。個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。

経費の基本的な考え方

所得は、収入から必要経費を引いて計算します。必要経費とは、その収入を得るために直接かかった費用や、仕事に関連して必要になった費用のことです。

経費が増えれば、所得が減り、税金も減ります。ただし、経費にできるのは、実際に仕事に使った分に限られます。経費を増やすために無駄な買い物をすると、手元のお金が減るだけで、得にはなりません。

経費として認めるかどうかは、「仕事との関係を第三者に説明できるか」が基準です。購入した理由、使い道、仕事への貢献を、きちんと説明できるものが対象になります。

副業を始める前に支払った準備の費用も、条件によっては経費に含められる場合があります。たとえば、事業の開始に向けて購入した道具や、講座の受講料です。ただし、事業を始めたことを示す根拠が必要なので、領収書を残しておきましょう。

経費にしやすいもの

仕事に直接使うものは、経費として認められやすい傾向があります。

  • 仕事で使う道具や機材、ソフトウェアの利用料
  • 材料費、仕入れ費用、商品の原価
  • 通信費(仕事に使った分)
  • 発送の送料、梱包材の費用
  • 販売サービスの手数料、振込手数料
  • 仕事に必要な書籍や、学習のための費用

高額な機材は、一度に全額を経費にできず、数年に分けて計上する場合があります。10万円未満のものは、その年に全額を経費にできる扱いが一般的ですが、金額の基準や条件は、制度が変わることがあります。最新の案内を確認してください。

スマートフォンの通信費を按分する場合は、仕事で使う時間の割合を、一定期間記録して決める方法があります。1週間ほどの使用状況をメモして、そこから割合を算出するやり方です。実態に基づいていれば、説明がつきます。

按分が必要なもの

自宅で仕事をする場合の家賃や光熱費、仕事とプライベートの両方で使うスマートフォン代やインターネット代などは、全額を経費にはできません。仕事で使った割合に応じて、一部だけを経費にします。これを「家事按分」と呼びます。

按分の割合は、使用時間や使用面積など、合理的な基準で決めます。たとえば、自宅の部屋のうち副業に使う面積の割合、1日のうち副業に使う時間の割合などです。

按分の割合を決めたら、計算の根拠を記録しておきます。どう計算したのかを説明できれば、後で問い合わせを受けても、対応できます。割合は、実態に合わせて、毎年見直してください。

交際費や会議費は、特に注意が必要な分野です。仕事に関係がある相手との飲食でも、金額が高額だったり、目的が不明確だったりすると、認められないことがあります。参加者の名前と目的を、領収書の裏などにメモしておいてください。

経費にできない、または注意が必要なもの

個人的な買い物や、仕事との関係が薄い支出は、経費として認められません。たとえば、普段着の衣類、日常の食事代、趣味の道具、家族の費用などです。

副業のために撮影や仕事の打ち合わせをしたとしても、飲食代が経費に認められるかは、内容次第です。誰と会ったのか、どんな目的だったのかを記録しておく必要があります。

また、税金や罰金、過去に発生した個人的な借金の返済などは、経費になりません。所得税や住民税そのものも、必要経費には含まれません。判断に迷うものは、仕事との関係を書き出して、説明がつくかを確かめてください。

記録は、月ごとにまとめる習慣をつけておくと、年末の負担が軽くなります。月末に30分だけ時間を取って、領収書を整理し、表計算ソフトや会計ソフトに入力します。溜め込むと、内容を思い出せなくなり、作業が重くなります。

記録の残し方

経費は、記録が残っていなければ、主張できません。領収書、レシート、請求書、クレジットカードの明細、振込の記録を、保管してください。

記録は、日付、金額、内容、支払先、仕事との関係の5項目を押さえます。仕事との関係は、後から思い出せるよう、簡単なメモを添えておくと役立ちます。

紙の領収書は、スマートフォンで撮影して保存する方法もあります。一定の要件を満たす電子保存の制度もありますが、細かい条件があるため、国税庁の案内を確認してください。保存期間は、申告の期限から原則として5年から7年です。

会計ソフトには、銀行口座やクレジットカードと連携して、明細を自動で取り込む機能を持つものがあります。取り込んだ明細に、勘定科目を割り当てるだけで記録が進むため、手入力の手間を大きく減らせます。

経費の集計を月ごとに行い、前の月との差を見る習慣も役立ちます。急に増えた支出があれば、その理由を確認できますし、不要な契約に気づいて見直すきっかけにもなります。経費は税金のためだけでなく、副業の経営を見直す材料でもあります。

副業専用の口座とカードが役立つ

経費を整理するコツは、仕事用のお金の流れを、生活用と分けることです。副業専用の銀行口座とクレジットカードを用意すれば、取引の明細がそのまま経費の記録になります。

生活用の口座で支払った場合は、後から仕分ける手間が生じます。どうしても混ざる場合は、その都度、レシートに「仕事用」とメモを書いておくと、混乱を防げます。

詳しい分け方は、副業用の口座を分ける方法を扱った記事で説明しています。早い段階で仕組みを作っておくと、確定申告のときに慌てずに済みます。

経費として計上する際には、少額でも根拠を残す姿勢が、後で自分を守ります。支出の目的を一言でも残しておけば、税務署から質問を受けたときも、落ち着いて答えられます。制度の細かい点は改正されることがあるので、申告前に国税庁の案内を確認してください。

最後に、経費の線引きに迷ったときの考え方を一つ。「その支出がなければ、その収入は得られなかったか」と自分に問いかけてみてください。答えが明確に「はい」なら経費、あいまいなら按分や見送りを検討します。判断の軸を持っておくと、迷う時間が減ります。

次にやること

今年の副業で使った支出を、すべて書き出してください。そのうえで、仕事に直接使ったもの、一部だけ仕事に使ったもの、仕事と関係のないものの3つに分けます。

仕事に直接使ったものは、領収書の保管状況を確認します。一部だけのものは、按分の割合と根拠を決めます。分けた結果を表にまとめておけば、確定申告のときの資料になります。