会社員が副業を始めるときの選び方・始め方・続け方を、手順に沿ってまとめています。

Preparation

始める前の準備

副業が会社に知られる経路と住民税の仕組み

目次
  1. 住民税の通知から知られる仕組み
  2. 住民税を自分で納める「普通徴収」という選択
  3. 社会保険や雇用の手続きから
  4. 人づての話やSNSから
  5. 会社に知られないことを目的にしないほうがよい理由
  6. 先に確認しておきたいこと
  7. 次にやること

副業が会社に知られる経路として最も多いと言われるのは、住民税の通知です。そのほかにも、社会保険の手続き、同僚や取引先を通じた話、SNSでの発信などがあります。ここでは、それぞれの仕組みを整理します。隠し通す方法を探すのではなく、何が起こりうるかを知ったうえで、会社のルールに沿って進める判断材料にしてください。

住民税の通知から知られる仕組み

会社員の住民税は、多くの場合、給与から天引きされる「特別徴収」で納めます。会社は、毎年5月から6月ごろに、市区町村から届く税額の通知書をもとに、従業員ごとの天引き額を決めます。

住民税の額は、前年の所得をもとに計算されます。副業で所得が増えると、その分も合算された税額が通知されるため、給与だけから見込まれる額より高くなります。経理や人事の担当者が、その差に気づく可能性があるのです。

通知書には、所得の内訳が詳しく書かれているわけではありません。ただ、税額が不自然に高ければ、給与以外の収入があるのではと推測されることがあります。仕組みを知っておくと、後の項目で触れる対策の意味も理解しやすくなります。

一般に、会社員は源泉徴収で所得税を納めており、年末調整で精算が済むため、普段は住民税の仕組みを意識する機会が少ないものです。その分、副業を始めたときにどこで情報が動くのかを知っておく意味があります。給与明細の住民税の欄が、前年から大きく変わっていないかも、時折見ておくとよいでしょう。

住民税を自分で納める「普通徴収」という選択

副業の分の住民税を、会社の給与天引きではなく、自分で納める方法があります。これを「普通徴収」といい、確定申告書の住民税に関する欄で選びます。

普通徴収を選ぶと、副業の所得にかかる住民税の納付書が、自宅に届きます。自分で期日までに納めるため、会社を経由しない形になります。

ただし、この方法が認められるとは限りません。自治体によっては、給与所得以外の所得も含めて特別徴収にする運用をしている場合があります。確定申告の際に希望を書いても、最終的な判断は自治体が行います。詳しくは、住民税の徴収方法を扱った別の記事を参照し、事前に住んでいる市区町村の担当窓口に確認してください。

会社の側から見ても、従業員が他の事業所で働いているかどうかは、労働時間の管理や健康管理の面で把握しておきたい情報です。副業を許可制にしている会社の多くは、こうした管理上の理由から届出を求めています。会社が把握したがる背景を理解すると、手続きに前向きになれます。

社会保険や雇用の手続きから

副業先で雇用契約を結ぶ場合、勤務時間や賃金の条件によっては、社会保険に加入する必要が生じます。この手続きの中で、本業の会社に連絡が行くことがあります。

また、雇用保険の手続きなどで、他の事業所での勤務状況を確認される場合があります。会社の担当者が、事務の過程で副業を把握する可能性があるのです。

副業が業務委託などの個人の仕事なら、社会保険の手続きで会社に知られる可能性は低くなります。ただし、働き方によって扱いが変わるので、副業を始める前に、契約の形を確認しておいてください。

副業の仲間や取引先との付き合いが増えるほど、人づての経路は広がります。副業の話をする相手は、信頼できる人に限り、会社の関係者が含まれていないかを意識してください。同じ業界で副業する場合は、とくに人間関係が重なりやすくなります。

人づての話やSNSから

案外多いのが、同僚や取引先、知人を通じた話です。副業先で偶然同じ会社の人に会う、副業の情報を同僚に話した、といったきっかけで、会社に伝わることがあります。

SNSでの発信も、注意が必要な経路です。副業の宣伝や報告を実名や顔写真つきで投稿すると、思わぬ人の目に触れます。匿名のアカウントでも、投稿の内容や写真から特定されることがあります。

発信する場合は、公開範囲や書く内容を事前に決めておきましょう。本業の会社の情報や、勤務先が分かるような内容を書かないことも、基本の注意点です。

ほかにも、隠して続ける副業は、気持ちの面でも負担になります。いつ発覚するかという不安を抱え続けるのは、本業にも副業にも悪影響を与えます。許可を得て堂々と行う安心感は、収入の大きさ以上の価値があるという考え方もあります。

会社に知られないことを目的にしないほうがよい理由

会社にばれないことを最優先に副業を進めると、かえって大きなリスクを抱えます。就業規則で副業が禁止または許可制の会社で、無断で行っていたことが後から明らかになれば、懲戒処分を受ける可能性があります。

近年は、副業を認める会社が増えています。国も、副業や兼業を促進する指針を示しており、モデル就業規則では、原則として副業を認める方向に改定されています。自分の会社の規則が許可制や届出制であれば、正式な手続きを踏むほうが、後々の安心につながります。

隠れて行う副業は、トラブルが起きたときに会社に相談しにくい面もあります。手続きを済ませておけば、何かあったときに堂々と相談できます。

手続きを済ませたあとも、状況が変わったら見直します。副業の内容を変えたり、収入が大きく増えたりしたときは、届出の内容を更新する必要があるかもしれません。年に一度、規則と実態を照らし合わせる習慣があれば、後で慌てる場面が減ります。

先に確認しておきたいこと

まず、就業規則を読み、副業についての規定を確認します。禁止なのか、許可制や届出制なのか、禁止の場合でも例外があるのかを把握してください。

次に、副業の内容が規則の範囲に収まるかを検討します。本業と競合しないか、本業の時間や備品を使わないか、会社の信用を傷つけないかが主な観点です。

そして、必要な手続きを済ませます。届出書の書式が会社にある場合は、人事や総務に取りに行くか、社内のポータルから入手します。書く内容は、事業の種類、時間、場所などが一般的です。届出の詳細は、別の記事でも説明しています。

また、副業の準備を始める段階で、確定申告や住民税の扱いを理解しておくと、後から慌てずに済みます。給与以外の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別の扱いになる点を押さえておいてください。

最後に、住民税や社会保険の扱いは、自治体や加入先によって運用が異なります。ここで紹介したのは一般的な仕組みなので、実際の手続きは、住んでいる市区町村の窓口や、年金事務所、税務署で確認してください。

次にやること

今日できることは、就業規則の副業に関する部分を探して読むことです。社内のポータルサイトや、入社時にもらった書類の中にあるはずです。見つからない場合は、人事や総務の窓口に、規則の場所を聞いてみてください。

読んだ内容をもとに、自分の副業の候補が規則の範囲に収まるかをメモにまとめます。判断が難しい場合は、一般的な質問として、人事の担当者や、公的な労働相談窓口に聞くのも一つの方法です。