会社員が副業を始めるときの選び方・始め方・続け方を、手順に沿ってまとめています。

Preparation

始める前の準備

副業が禁止されている会社ではどうするか

目次
  1. 「禁止」の中身を正確に読む
  2. 裁判例から見える考え方
  3. 選択肢1:会社に相談して例外を認めてもらう
  4. 選択肢2:禁止の対象外の活動に絞る
  5. 選択肢3:環境を変えることを視野に入れる
  6. 無断で行った場合に起こりうること
  7. 次にやること

副業が禁止されている会社で働いている場合は、まず「何が禁止の対象で、例外はあるか」を確認し、そのうえで「会社に相談する」「禁止の対象外の活動に絞る」「長い目で環境を変える」の3つの選択肢から選ぶことになります。無断で始めるのは、処分のリスクがあるため避けたほうがよい選択です。順に整理していきます。

「禁止」の中身を正確に読む

「副業禁止」と言っても、実際の規則の書き方は会社によってさまざまです。全面禁止なのか、許可なく行うことを禁止しているだけなのか、条文を読んで正確に把握します。

たとえば「許可なく他の会社に雇用されてはならない」とだけ書かれている場合、雇用以外の活動は対象外と読める余地があります。ただし、解釈は会社の判断が優先されることも多いため、自己判断で進めるのは危険です。

禁止の対象には、アルバイトのように雇われる働き方だけでなく、自分で事業を行う場合も含まれることがあります。どこまでが禁止の範囲なのかは、条文の文言と、運用の実態の両方で確認してください。

このため、会社の規則に「禁止」と書かれているからといって、副業そのものを諦めるべきとは限りません。反面、書かれている以上は、規則を無視して進めてよいということにもなりません。規則と現実の間でどう動くかを、慎重に考える必要があります。

裁判例から見える考え方

副業の禁止を巡っては、過去に争われた例があります。一般に、勤務時間外に何をするかは、原則として労働者の自由と考えられています。

ただし、判例では、副業が本業に支障を与える場合、会社の信用を損なう場合、競業にあたる場合などには、会社が制限できる場合があるという考え方が示されています。つまり、全面禁止が常に有効とは限らず、個別の事情に応じて判断されるということです。

とはいえ、規則に違反して処分を受ければ、それを覆すには時間も労力もかかります。権利の有無を争うより、争わずに済む道を探すほうが、現実的な選択です。この点は、労働問題に詳しい専門家に相談できる分野でもあります。

相談の場で聞かれやすいのは、「本業に影響しないか」「会社の情報を使わないか」「競合しないか」の3点です。これらに自信を持って答えられるよう、副業の内容と働き方を整理してから臨んでください。ここで誠実に説明できると、将来の規則見直しの際にも、話が進めやすくなります。

選択肢1:会社に相談して例外を認めてもらう

規則で禁止されていても、会社に相談して個別に許可を得られることがあります。とくに、本業と関わりが薄く、勤務に支障が出ない内容なら、認められる余地があります。

相談するときは、副業の内容、時間帯、頻度、本業への影響がないことを、資料にまとめて伝えます。会社が懸念しそうな点を先回りして説明すると、理解を得やすくなります。

相談の窓口は、直属の上司ではなく、人事や総務のほうが適切な場合が多いです。上司に先に話すと、評価や人間関係に影響する不安があるなら、先に人事へ制度上の確認をしてもよいでしょう。

禁止の対象外の活動で経験を積むときも、会社の時間と備品を使わないことは守ってください。また、フリマアプリでの販売でも、継続的に仕入れて売る形になると、事業と見なされる場合があります。規則の趣旨に照らして、線を引くようにしてください。

選択肢2:禁止の対象外の活動に絞る

禁止されているのは、収入を得る事業や雇用であって、次のような活動は対象外であることが多いです。

  • 不用品を処分する程度の、フリマアプリでの販売
  • 資産の運用(株式や投資信託の売買など)
  • 資格の勉強やスキルの習得
  • 無報酬のボランティア活動

ただし、これらも、会社によっては規則の対象に含まれることがあります。副業の範囲を条文で確認し、迷う場合は人事に尋ねてください。

いまは収入に結びつかなくても、将来のための準備として、スキルの習得や実績づくりを進めておくのは有効です。禁止が解けたとき、あるいは環境を変えたときに、すぐ動き出せます。

環境を変える選択肢には、同じ会社の中で、副業が認められている部署や制度がないかを調べるという方法もあります。社内に制度があるのに知られていないだけ、というケースも見られます。社内の情報も、一度は確認してみる価値があります。

選択肢3:環境を変えることを視野に入れる

副業を強く望むのに、会社が頑なに認めない場合、転職を視野に入れる人もいます。副業を認める会社は増えており、求人の条件に副業可と書かれていることも珍しくありません。

ただし、副業のために転職するのは大きな決断です。給与、仕事の内容、働き方、通勤時間など、総合的に比較してから判断してください。副業が可能かどうかは、判断材料のひとつにとどめます。

転職を考える場合も、すぐに辞める必要はありません。情報収集を続けながら、今の会社で認められる範囲で準備を進めるのが、安全な進め方です。

発覚の経路としては、住民税の通知や、同僚の話、SNSなどが知られています。隠し通せると考えず、規則に反しないやり方を探すほうが、結果として安全です。迷ったら、まず相談するという姿勢を持ってください。

もし、すでに無断で始めてしまっている場合は、早めに状況を整理し、会社への相談や手続きを検討してください。時間が経つほど、説明が難しくなります。迷うときは、公的な労働相談の窓口に、匿名で相談する方法もあります。

無断で行った場合に起こりうること

規則に違反して副業を行ったことが発覚した場合、会社から注意や指導を受けることがあります。内容が重い場合は、減給や出勤停止、最悪の場合は懲戒解雇といった処分につながる可能性があります。

処分の重さは、副業の内容や規模、本業への影響、会社の規則の定めによって変わります。軽い違反なら注意で済むこともありますが、結果は事前に読めません。

また、懲戒処分を受けると、転職活動や今後の信用にも影響が出ることがあります。収入の足しにするつもりが、将来のキャリアに傷をつける結果となっては、割に合いません。リスクの大きさを理解してから判断してください。

気持ちが焦るときほど、情報を集める時間を取ってください。副業を巡る制度や社会の流れは、数年のうちにも変わっています。いま禁止の会社でも、将来的に規則が見直される可能性はあります。今できる準備を進めながら、選択肢を広く持っておけば、状況が変わったときにすぐ動けます。

次にやること

最初に、自分の会社の就業規則で、副業にあたる条文と禁止の範囲を読み直します。そのうえで、3つの選択肢のうち、現時点で最も取りやすいものを一つ選んでください。

会社に相談する場合は、副業の内容を1枚の資料にまとめることから始めます。環境を変えることを考えるなら、副業可の求人を検索して、条件を比べてみるところからです。どの選択をしても、焦らず、一歩ずつ進めれば大丈夫です。